○楢葉町男女共同参画の推進による心豊かな町づくり条例
(平成16年12月17日条例第16号)

前文
我が国においては、今日、個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法を基本的なよりどころとして、国際的には女性に対するあらゆる差別撤廃を目指す条約により相互補完しつつ、男女共同参画社会の実現に向けた様々な取組が行われてきた。
しかしながら、社会的あるいは文化的にみて地域社会に根強く残ると指摘される、性差に基づく差別分業意識など、女性の就労や社会進出に対する社会制度の慣行に対する諸課題も多い。一方、本町においても全国の動向と同様、少子高齢の時代に入り、潜在的な労働力、地域活力の底上げのために、女性が元来有する能力を充分に発揮できる社会の構築は、本町の豊かな町づくりの実現にとつて、きわめて有効な手段であるといえる。
また、本町は、昔から、21区ある行政区に代表される基礎的集落の中で、地域の個性や特性に基づく伝統的な結いの精神により、地域社会を形成してきた歴史を有する。今後は、そうした古来より地域に受け継がれてきた伝統的な文化、慣習を土台とした基礎的なつながりを変質させることなく後世に伝え、それとともに男女が共に地域に貢献できる社会の実現を目指すことも重要な課題の一つといえよう。
以上のような現状認識に立つて、豊かな地域社会、町づくりを推進するために、すべての町民が男女の別なく尊重され自己の持つ個性や能力を自らの意思に基づいて、地域社会に参画でき、同時に地域社会が潜在的に受け継いできた伝統や文化を基盤とした郷土愛を育む町づくりの形成のために、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項について定めることにより、男女の実質的な平等を実現し、それによつて、男女一人ひとりが個人として尊重され、改めて各地区、職場及び学校等で培つてきた郷土愛に立脚した豊かな楢葉町の形成に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によつて社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もつて男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。
(2) 事業者 町内において公的機関、民間を問わず、又は営利、非営利を問わず事業を行うものをいう。
(3) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会についての男女間の格差を改善するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該活動に参画する機会を積極的に提供することをいう。
(4) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動に対する相手方の対応によつて不利益を与え、又は性的な言動により相手方の生活環境を害することをいう。
(基本理念)
第3条 町、町民及び事業者等は、次の各号に掲げる事項を基本理念として男女共同参画による町づくりを進めるものとする。
(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられ、性別による差別的扱いを受けず、共にその個性と能力を発揮する機会が確保されるなど、男女の人権が尊重される町であること。
(2) 男女がそれぞれ自立した個人として、自己の意思で多様な生き方が選択でき、かつその生き方が尊重され、自己決定権が確立される町であること。
(3) 男女が、家族的責任及び社会的責任を共に担い、家庭、職場、学校、地域などあらゆる場における活動に平等・対等な立場で参画できる町であること。
(4) 男女が、町や事業者における政策、又は方針、計画の立案及び決定に、共同して参画する機会が確保される町であること。
(基本目標)
第4条 町、町民及び事業者は、次の各号に掲げる事項を男女共同参画による町づくりの基本目標として、これの実現に向けて努めるものとする。
(1) 家庭における基本目標
ア それぞれの個性を重視し、「男だから」・「女だから」といつた考えを強いるのではなく、「その人らしさ」を大切にする家庭を築くこと。
イ 家族一人ひとりが多様な生き方を選択でき、その能力、適正をみんなが認め合う明るく充実した家庭を築くこと。
ウ 家事、育児、介護などの家庭の営みに家族全員が関わり、苦楽を共に分かち合う「男は仕事」・「女は家庭」の意識を超えた家庭を築くこと。
(2) 職場における基本目標
ア 個人の意欲、個性などが合理的かつ適切に評価され、採用、配置、賃金、昇進などについて性別を理由とする差別がない、いきいきとした職場をつくること。
イ 効率的かつ効果的な労働によつて、長時間労働やストレスがたまる職場環境の改善が図られ、家庭生活や地域活動にもゆとりや活力を促す充実した職場をつくること。
ウ 育児休業や介護休業を男女が等しく積極的に取得できるようになるなど、仕事と家庭が両立するような職場をつくること。
エ 妊娠・出産期、更年期など女性特有の生涯の各段階に応じた適切な健康管理が行われる職場をつくること。
オ セクシュアル・ハラスメントのない、快適で安心して仕事ができる職場をつくること。
(3) 学習・教育における基本目標
ア 「男の子だから」・「女の子だから」という性差意識にとらわれない、それぞれの個性や人権を大切にする子供を育てるようにすること。
イ 男女の別なく、育児、介護、ボランティアなどの体験を重視した学習を進めること。
ウ 進学や就職などにおいて、性別にとらわれない、個人の能力や適正を考慮した選択の自由が尊重されること。
エ 老若男女を問わず、町民等しく男女共同参画について学習する機会が増進されるようにすること。
(4) 地域における基本目標
ア 男女が連帯して地域の活動に参画し、企画や実践に関わることによつて生きがいと活力のある町づくりを進めること。
イ 男女の相互理解によつてそれぞれの行動や考え方が尊重され、意志が決定されること。
ウ 女性の積極的な社会参画により、女性の多様なリーダーシップが発揮されること。
エ すべての人の人権が尊重され、差別のない心豊かな地域社会が作られること。
(性別による権利侵害等の禁止)
第5条 何人も、性別を理由とする権利侵害や差別的取扱いを行つてはならない。
2 何人も、地域、職場、学校などあらゆる場においてセクシュアル・ハラスメントを行つてはならない。
3 何人も、夫婦間を含むすべての男女間において、個人の尊厳を踏みにじる暴力や虐待を行つてはならない。
(町の責務)
第6条 町は、男女共同参画の町づくりのため、次の各号に掲げる事項について、積極的改善措置の責務を有する。
(1) 積極的な啓発等 本条例が広く町民及び事業者等の理解が得られるよう啓発等に努めること。
(2) 情報の収集・公表等 男女共同参画に関する情報の収集を積極的に行うこと。
(3) 町民等への支援 町民や事業者等が実施する男女共同参画の町づくり活動の支援を行うこと。
2 町は、人事管理及び組織運営において、個人の能力を合理的かつ適切に評価し、男女の性別に起因するあらゆる侵害を排除する。
3 町長は、男女共同参画の促進に必要と認める場合、事業者に対して男女共同参画推進について、報告を求めることができる。また、必要と認める場合には、当該事業者に対して助言等を行うことができる。
(町民の責務)
第7条 町民は、男女共同参画の推進に関する理解を深め、従来の慣行にとらわれることなく、生活のあらゆる場面において、その実現に努めるものとする。
2 町民は、町が行う男女共同参画の推進に向けた施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第8条 事業者は、男女共同参画の推進に関する理解を深め、その事業活動の様々な場面において、積極的改善措置を講ずるなどその実現に努めること。
2 事業者は、町長から男女共同参画の推進について、報告を求められた場合は、協力しなければならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識又は男女間における暴力的行為を助長させる表現を使用しないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画推進体制
(男女共同参画推進審議会)
第10条 町長は、男女共同参画の町づくりを推進するため、楢葉町男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第11条 審議会は、この条例の規定により定められた事項を審議するほか、町長の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する事項を調査審議する。
2 審議会は、男女共同参画の推進に関する事項について町長に意見を述べることができる。
(組織)
第12条 審議会は、委員10名以内をもつて組織し、町長が委嘱する。
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とし、再任は妨げないものとする。
3 委員については、楢葉町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年楢葉町条例第5号。以下「条例」という。)別表のその他の附属機関の委員に相当し、報酬等については、条例の規定を準用する。
[楢葉町特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和41年楢葉町条例第5号。以下「条例」という。)別表] [条例]
第3章 基本計画等
(基本計画の策定)
第13条 町長は、男女共同参画の町づくり実現のため、本条例の趣旨を踏まえ、総合的かつ具体的な施策を取りまとめ、楢葉町男女共同参画の推進のための基本計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 町長は、基本計画策定のために、審議会の意見を聴取し、町民及び事業者の意見が反映されるよう努めるものとする。
3 町長は、基本計画を策定したときは、議会に報告するとともに、町民及び事業者に周知し、理解と協力を得るものとする。
第4章 男女共同参画推進担当
(男女共同参画推進担当)
第14条 男女共同参画推進担当を総務課におく。
第5章 補則
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関して必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。
(楢葉町男女共同参画社会推進のための条例策定検討委員会設置条例の廃止)
2 楢葉町男女共同参画社会推進のための条例策定検討委員会設置条例(平成15年楢葉町条例第18号)は、廃止する。